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もちろん音の加工はその前後に入れ込むEQやコンプの仕事だと思っていますので、どれだけ“そのままの音質で”設定したピークを飛び出した音を抑えてくれるかが重要で、そういう意味ではDAWホストに付属しているプラグインは“素直な音質系”ですのでとても優秀なのですが、なにかものたりない…そんなわけで、そう感じたときに使うリミッターがEMI TG12413 Limiter(日本代理店サイト:http://www.minet.jp/abbeyroad/tg12413)です。
リミッターってコンプとどう違う?みたいな話も交えなければとは思いますが、コンプは大小の音量差を、効き始めー効き終わりを調節しながら“圧縮”するのが仕事で、そのトラックに対する時間軸(ノリ)の部分を加工するエフェクターとすれば、リミッターはそのコンプに渡す音があまりにも音量差があると圧縮も上手くいかなったりするので、少し整形してあげる的な使い方や、トラックの音量感をもう少しだけあげたいなというときに最後にかけたりと、ピーク部分を他のエフェクターのために整形してあげるという繊細な使い方をするエフェクターです。
そういうエフェクターですので、原音の音質をなるだけ変えないのが基本だとは思いますが、音を削るって基本的に出てくる音は“痩せちゃう”わけでして、それはそれで正しいのですが、物足りなくてEMI TG 12412 EQでその音作りの素晴らしさに魅せられたまま“それならこっちはどうなの?”で導入したのがEMI TG12413 Limiterです。
動作的にはコンプとリミッターの切り替えがついていますが、正直、これはリミッター専用です(笑)
Abbey Road StudiosのコンソールTG12345のコンプ/リミッターTG12413を再現した1969版と基本インプットゲインを10dB上げてインプットゲインをつけた2005版の二つが同梱されていますが、お気に入りは2005版で、やや1969版よりもハイファイに仕上げやすい感じが気に入っています。
今回はさっさとそのサンプルにいきたいと思います。効果が分かりやすいように強めにかけてみました。
■ドラムのミックストラックの最後にRECOVERY=1(最速)OUTPUT=+2でリミット
○オリジナル(以下:16/44/WAV)
○サンプルとしてPro Tools 8付属digiRACK Comp/Limiterで似た設定
○EMI TG12413 Limiter
聴くと分かりますが、RECOVERY最速で深めにかけるとかなり音が変わります。
でもそこがいいんです。
もちろん音質を変えたくないリミッティングのときは普通に付属バンドルのリミッターを使っています。
■ピアノトラックの最後にRECOVERY=6(最遅)OUTPUT=+2でリミット
○オリジナル(以下:16/44/WAV)
○サンプルとしてPro Tools 8付属digiRACK Comp/Limiterで似た設定
○EMI TG12413 Limiter
前述のドラムミックストラックでは最速でしたが今回はRECOVERY=6の最遅です。
私はこの遅めのリリースのときのTG12413 Limiterの効き方がとても好きで、こういう単体楽器の単体トラックに普通のリミッターを使うとどうしても音が歪み易いのですが、TG12413 Limiterでやるとその悩みは簡単に解決してくれて、これぞ名機のリミッティングだなぁと感じます。
最後になりますが、リミッティングもコンプと同じくらい、エフェクターとしては別物としての経験と知識が必要だなぁといつも思っていて、Digidesign Bomb Factory BF-2A(LA-2A)や変則的ですがSoftube FET Compressor(1176)を20:1でやるリミッティングもよく使います。
どのようなエフェクターでもデジタル、真空管、コンデンサーと3つのタイプをそれぞれ一つずつ所有していると音作りの幅がかなり広がりますのでお勧めです。
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