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dbx QUANTUMはマルチバンド(4分割)・シングルバンドのEQ~ゲート~コンプ~リミッターなどを内蔵DSPでデジタル処理する“マルチバンド・マキシマイザー”というエフェクターで、早い話、音圧を上げることをメインの機能としたデジタル製品です。
デジタル製品でコレと言った故障が出る事も少ないせいかQUANTUMの中古流通は現在でもボチボチで安価に手に入れやすい製品だと思います。
特に2.は重要でスタジオでPro Tools HDに錚々たる機材群のシステムで、クライアントからもらう持ち込みトラックの中には、パソコンでの処理が大きそうな箇所や後半になるにつれテンポがズレていることが結構な数でみられました。
もちろんこの“ズレ”は耳と脳でハッキリと分かる“嫌な感じ”ほどのズレです。
こちらとしては、それが持ち込み音源なので、ワークシートや添付文書に「テンポ120キッチリです」とか書いてあっても「ず、ず、ズレてるよ!」とは、いつも利用してもらっている顔馴染みやお得意様関連じゃないと言いにくいものです。
個別に分けているトラックもエフェクターソフトの“重い・軽い”でやっぱりズレます。
もともとパソコンのマザーボードの時計なんてほっておけば1ヶ月で数秒単位でズレるし、重い処理をさせると更にズレるそれほど精度が高いタイマーではありません。
そんなわけで、それを実体験している身としては、普段はラックに電源を入れるのは面倒なのでやりませんが、MIDI編集などが終わり、トラックの録音作業になればワードクロックを外部からとるようにしています。
専用機が欲しくなるのですが、たかが“精密時計だろ?”と思っていたら、ワードクロックってその精度が求められるために専用機は高価です。
現役時代の“マスタリング・プロセッサー”として活躍していたころは中古でも結構な価格だったのですが、最近はそれらの作業はプラグイン・エフェクターにその仕事を奪われ、すっかりラックの“隙間埋め”的な扱いで最近ではかなりお得に入手できます。
スタジオワーク仕様の製品であり、マスタリングという繊細な作業向けのエフェクターですのでクロックに関しても気を使った作りでスタジオでのQUANTUMのワードクロックは更なるクロック専用機を使用するためにスレーブとなりますが、高精度な反応をしてくれます。
本来の使い方であるマスタリング・プロセッサーとしても、マルチバンドだけではなくシングルバンドも使えるし、最終的なステレオイメージャーやノーマライザーにディザと今でも使えるとは思うのですが、プリマスタリングの領域にガシガシと食い込んでくる音圧上げのために、やっぱりウチでは“電源入れたら即BYPASSボタン”です。
そしてもう一つの推しがQUANTUMのD/Aコンバーターの特性の良さです。
対応は24bit/96KHzまでですが個人的には全く問題無しで、そのD/A・A/Dコンバーターの品質はダイナミックレンジの広さから原音に忠実な周波数特性とかなりの高評価です。
このD/A・A/Dコンバーターも単体専用機はワードクロック専用機と同じくビックリ価格なのです。
そんな二つの機能を同時に使えて“今でも十分以上に使える性能”を持つQUANTUMの現在の入手し易さはお得だと思っています。
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