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2013年3月25日月曜日

KORG DSS-1 リペア:鍵盤を清掃&グリスアップ

電源が入り、特に重要なアナログ部のVCFやVCAなど音を出す部分において不具合が見当たらないので大掃除を開始です。

ちなみに昔のシンセサイザーである程度のメインストリーム向けの機種は2VCO-6音ポリならば、VCFもVCAもそれぞれ12個ずつ搭載するという力技の基板を実装しているシンセがほとんです。
鍵盤に順に指を置いていき、ラウンドルーティングで4番目が鳴らない!や、3番目だけ音痴!といった症状はアナログシンセならではです。

さて、掃除です。
作業時間は4-5時間ほどでした。

鍵盤でよく見られるのは板バネ方式とスプリングバネ方式ですが、板バネの方が打鍵した感触は良いのですがピアノ鍵盤的な“重さ”が無かったりします。
スプリングバネだと木製鍵盤的な“カックン”の感触が出しにくかったりで最近は両方を採用したりと様々です。

とりあえず蓋を外してみるとKORG DSS-1は板バネ方式でした。
まずは鍵盤の裏に指をひっかけて手前に引きます。
すると奥のツメの“ひっかかり”がずれて外せるようになります。
鍵盤の裏に指をひっかけて手前に引きます
このときに、どうしても古い機材ですので鉄板と鍵盤の噛み合わせが悪く、なかなか外れないときがありますが決して力を入れてはいけません。
鍵盤プラスチックも“風化”していて柔らかさが無いために力をかけすぎると折れたりしてしまいます。
「なかなか外れないな」と思ったら黒鍵はわりと簡単に外せるので周りから外しつつ、色々と角度を変えたりしながら知恵の輪的に外します。
本体にひっかかっているのは先端のツメだけ
鍵盤を構成しているのはこの3つの部品で、本体プラスチックと錘と板バネです。
KORG DSS-1鍵盤
KORG DSS-1鍵盤 最近のシンセでは錘の脱落防止に裏蓋まであったり、打鍵感向上のための色々な工夫がしてあり3ピース構成とか色々とありますが、古い機種ゆえというか、ともかくメンテナンスは簡単なのでありがたやです。
ちなみにスプリングバネ方式もバネを外す“ひっかき棒”を持っていればわりと簡単に分解することができます。

コツを掴むまではイライラしてしまいますが慣れると簡単。どんどん外していきます。
鍵盤の清掃は、レック株式会社 水の激落ちくん(レック社商品ページ:http://www.lecinc.co.jp/mizunogekiochi/index.html)でやるとして、 その他に必要なのがグリスです。
ばらしてみるとKORG DSS-1の鍵盤部には元来、グリスは使用されていないことに気づきます。
ハーネステープとグリス なぜグリスを使わないのかというと現在みたいにプラスチックにも使える非浸食タイプのグリスが当時は無かったなどでしょう。

ですが、このDSS-1の打鍵音は中の鉄板に乱反射して金属的なバネを弾いた音やプラスチックが“当たる”カチャカチャと嫌な音がしますので、プラスチックにも使えるグリスを使用します。
タミヤ セラグリスHG(タミヤ社ショップページ:http://tamiyashop.jp/shop/product_info.php?products_id=87099
鍵盤をグリスアップ
このときに、指にグリスがついてしまいますので、そのグリスがついた指で板バネを磨く感じで触ると板バネがピカピカになります。
消音効果を期待して鉄板部にハーネステープを
本体側はいわゆる鉄板むき出しで音の反射がひどいので、鉄よりもビニールの方がいくらかマシということでマスキングします。ハーネステープは電子部品パーツ屋さんで200円程度で売られています。
コンビニや100均で売られているビニールテープとは“伸びる”“縮む”“糊の跡がベトベト” がかなり違いますのでハーネステープの方がオススメです。

鍵盤をはめていく
今回はやりませんでしたが、プラスチック鏡面加工用の磨き剤も最近では通販で手に入れやすいので、そこまで徹底してやるのも良いかもしれません。
ただし、プラスチックの黄ばみは紫外線による分子レベルでの変色なので交換しか方法がありません。

ちなみに600円で買ってきたグリス10gは半分ほど使用しました。

KORG DSS-1鍵盤の清掃終了
“思い入れ”がある機材をやっと手に入れたからには末永く大事に使っていきたいものです。

2013年3月22日金曜日

KORG DSS-1 リペア:電源ソケット変更

最近は、“昔、お金が無くて買えなかった”や、“部屋の中に置いたら楽しいだろうな”といった、機能的、技術的には“ガラクタ”なモノに興味ありまくりです。

ということで買っちゃいました。
KORG DSS-1
KORG DSS-1です。12bitサンプラー+12db/24dbアナログフィルター(VCF)+アナログエンベロープ(VCA)です。
サンプラーとして波形を用意しなくても内部のデジタルオシレーターにいくつかの基本波形をもっているので2オシレーターのデジアナシンセとしても・・・きっと・・・使えます。

で、DSS-1のシンセサイザー的なレビューはリペアが終わってから書くとして、当面はこの20年以上前のシンセサイザーのリペア作業も書き留めておこうと思います。

まず最初に困ったのが「電源ケーブルが無い」です。
昔のタイプの長方形2pin電源ソケット
昔のシンセにはよく見かけたこの長方形の2pin電源ソケットですが、最近はケーブルすら売っていません。
専門家でもなくこういった電子部品について詳しいわけでもありませんが、交流電源はどちらがプラスマイナスではない事と日本製品はアースに漏れないように2pinソケットで電子機器は作られている事くらいは知っていますので、近くの電子パーツ屋さんで今どきの電源ソケットを100円で購入。
電源ソケット部
本体のふたを開けてみると最近の何でも一体型基盤ではなく、細かく分かれている基盤ということと、電源ソケットが基盤からコネクターで分離できるということでカチッと取り外し。
昔のタイプの長方形2pin電源ソケットを交換
昔のタイプの長方形2pin電源ソケットを交換 特に基盤ともつながっていないので、下手なはんだ付けで熱で部品を痛めるといったことを気にしなくてもいいしがっちり取り付けました。

昔の方がイイ部品を使っていた云々は“音的”になのか“技術的”になのかで全然違ったりします。

このKORG DSS-1も中を見てみるとパーツごと機能ごとに基盤が数多く分かれていますが、それは当時はそうしなければ作れなかったということで、今はシールド(絶縁)技術が凄くてほぼ1枚の基板で済んでしまい、それは低コスト化や故障率の低下という恩恵をもたらしているそうです。
付け替えた今どきの電源ソケット
掃除もしつつ新しい電源ソケットを本体に装着しました。
上の写真と見比べるとかなりの汚れが落ちているのが分かると思いますが、最近、機材関係の汚れ落としにつかっているのが、
古い機材でも安心の成分が水の激落ちくん
レック株式会社 水の激落ちくん(レック社商品ページ:http://www.lecinc.co.jp/mizunogekiochi/index.html)です。
某マジック●ンもよく汚れを落とせるのですが、あとで水拭きをしっかりしないとプラスチック類はどうしても早く痛みがちです。
この激落ちくんは成分が“水”ですのでそういった心配がなく、しかも某○よりも汚れが落ちます。

話が脱線しますが、汚れを落とすという事は汚れと本体の隙間に水が入り込むことで汚れが分離することで、その隙間にどれだけ細かな水の粒子を入れ込むかということになります。

電源ONで復活!KORG DSS-1 昔ながらのアク灰で汚れを落とすという原理に近いアルカリ電解水で汚れを落としてしまえというのが激落ちくんです。
しかも、水ですのでプラスチック、金属などを変質させません。
宣伝しても何ももらえませんがおススメです。

ともかく、見える部分の清掃をして電源ON。
鍵盤の総バラシ+グリスアップや液晶バックライトの交換など、まだリペア作業は続きますが、昔のKORGだなぁと懐かしみながら音を堪能中です。

2013年3月10日日曜日

KORG KAOSSILATOR PRO+

関連リンク
メーカー :
 KORG
カテゴリ :
 KORG ダンス/DJ
商品紹介 :
 KAOSSILATOR PRO+
昨年暮れのバタバタも落ち着き、年末~正月はソフトウェアやアウトボード類の追加をしたりしながら、今年は久しぶりにVo.と前回よりも気楽に遊ぼうということでライブやら新曲やらを準備していこうかなと活動中です。

友人のライブなどを見てると最近はめっきりパソコン+DJコントローラーというスタイルが多く、大きな鍵盤をセットアップして華麗にシンセを弾きまくるというのは廃れたようで、流行に左右されやすい私も、なるだけリアルタイムでグリグリバチバチできるけれども“コンパクトなセット”にしようかなと思っています。

YAMAHA QX3 さすがに今更シーケンサーという骨董品で機器を制御しようとは思いませんが、個人的にはノートパソコンを置くスタイルもあまり好きじゃないし、かといってポケットにiPodを忍ばせて口パクならぬプレイパクするのもな~ということで、今年探しているモノは“小さな音を出せるヤツ”となりそうです。

オケをパソコンで出そうがサンプラーで出そうが結果は同じですが、モチベーションとか色々と大人になると大変なんです。

そんなわけで2013年2月に新音色を追加されたKORG KAOSSILATOR PRO+を買ってきました。

KORG KAOSSILATOR PRO+
以前にKAOSS PAD(エフェクター)の方を触ったことがあるので何となく、「あのパッドで指をグリグリするヤツの音源内蔵版かぁ」くらいは理解していてKORGのディザームービーなどを見ながらポチって実際に触ってみてアレレレッと思ったのは、
  • シンセサイザーサウンドの調整・変更・エフェクターのON/OFFすらもできない。
  • 当然、音色パッチの追加・変更も不可。
  • KAOSSILATOR PRO+の内蔵シンセ(?)をパッドで遊ぶときはパッドがMIDI NOTEでは無く、MIDI CC(ベンダー操作で音階を決めているようなもの)で制御。MIDIコントローラーモードではパッドからMIDI NOTEを吐き出すという不思議仕様。

KORG KAOSSILATOR PRO+こんな感じでKAOSSILATOR PRO+の内蔵サウンドを使ってパッドの指の動きをパソコン側DAWにMIDI録音してもMIDIノート情報じゃないのと、中でどういう計算をしているのやら、そのMIDI CCを再生してKAOSSILATOR PRO+に送っても毎回違う音が出ます。

一期一会ではないけど、本当にフレーズや音色音程が一発仕様です。ある程度慣れてくると指先で微調整しながら狙った音を出せるようになってきますが、ノリで弾いてノリで音を出すシンセと捉えてもらった方が良いと思います。

で、そんな購入意欲を削ぐ事ばかり先に書いていますが、

それでもKAOSSILATOR PRO+は楽しい。

です。

これで筐体の作りまでちゃちだったらゲンナリしてしまうところですが、ボタンや外装などは良い感じの作りで本体も金属フレームで重く、パッドを叩きまくってもブれないしっかりとしていたハードとなっています。
あと、S/Nも含め音質は最高ではないけれども、決して低コスト機のようなノイズまみれな事は無く、下記ムービーのようにライン録音ですがなかなかの音質です。

KORG KAOSSILATOR PRO+
KAOSSILATOR PRO+はSDカードでポン出し用のWavなどを管理保存できます。
ただし、想像以上に何もできませんので、パソコンでWavを用意してエディターソフト経由で本体に挿したSDカードに保存という使い方です。

KORG KAOSSILATOR PRO+
大容量SDカードが使えますがこれは今後数年間の“SDカードの需要と供給”に合わせているだけでKAOSSILATOR PRO+ではポン出しボタン4つ分のWavしか使いませんので入手しやすいSDカードなだけマシといった感じです。

本来は、エレクトロやダンス系みたいなフレーズループで楽しむ方が“よく分からない何もできない制御不可能なアルペジェーター”なKAOSSILATOR PRO+の使い方だとは思いますが、無理矢理演奏してみました。
前述どおりMIDI録音してもそれを毎回同じ音で再生できないので動画と音声は別録りですがリアルタイム録音というやつです。
こんな感じだよといった雰囲気を掴んでもらえればと思います。

さしあたって旧機種から買い替える必要性は薄いのですが、音源を全く調整できないということで今後も新音色追加のたびに“+”が増えるのでしょうか?