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2012年11月29日木曜日

シンセカバー

シンセ用の専用カバーって結構高いのと汎用品なので所有しているシンセにはサイズがイマイチ合わなかったり・・・

そういえば、昔は国内メーカーのいくつかはシンセカバーを付属させていてくれたりしてくれていましたね。今でもそうなのでしょうか?

ただし、専用のカバーって当然ですが色付です。これはモノヲタでニヤニヤしたい心理に反します。

そこで見つけてきたのが、ダイソーの"テーブルクロス"です。もちろん100円。
サイズは61鍵盤のシンセなら2台分、76鍵盤のシンセもサイズ的には取れそうですが所有していないので不明。

なぜ、今頃こんなことを書くかというと、もし、季節を通じてビニールが溶けたりシンセの塗装に張り付いたり剥がれたりしたらトンデモないことになるからですが、風化して汚くなったらまたハサミでチョキチョキすればいいし、長いのでは我が家では3年物もありますが、前述のようなシンセの塗装を・・・みたいなトラブルは一度もありませんでした。

これは1年とか経つと分かるのですが、自宅でやっているとそこは生活空間なので、どうしてもチリホコリが出ます。

このチリホコリに人間製油が付着すると取れない→油が酸化→表面の塗装を痛める

これが1年分となるとどうやら凄いみたいで、このシートは2年で黄ばんで小さなホコリが取れない状態になります。

工作は簡単です。シンセに合わせてハサミで切って適当にテープでとめて箱型にするだけ。
そして、なんといっても透明です。所有シンセを眺める楽しみは大事です。

YAMAHA DX200

SUB TITLE IMAGE DX シリーズの FM 音源しか出せない音があるんです。

6 オペ DX7 にアナログモデリング VCF と VCA がついて FM サウンドをグリグリ・・・する気にならないくらい FM って存在感あります。

関連リンク
メーカー :
 YAMAHA
カテゴリ :
 SYNTH & DTM
商品紹介 :
 DX200
商品紹介 :
 PLG-150DX
アップデータ :
 DOWNLOAD ページ
あの乾いたベルは FM 音源しか無理というのと、ナンダカンダと長いこと使っていたので FM 音源の音作りはノウハウもあるということもあり、YAMAHA DX200 を購入しました。

MOTIF シリーズなんかにアドオンできるプラグインボードの PLG150-DX を搭載した音源モジュールです。

PLG150-DX は DX7 の 6 オペレーター FM を最新の技術でギュッと小さなボードに詰め込んだやつです。
それに加えて DX200 には VCF と VCA のアナログモデリング部を搭載しています。
YAMAHA DX200 つまり、FM で作ったサウンドにフィルターとエンベロープをかませることができるというやつです。

ただし、本体ではリズム&ループマシンという性格上、FM 音源のエディットはやりづらく同封のソフトで PC からフルエディットするのです が・・・オイオイ、WindowsXP では動かない・・・。
アップデータを入れたあとで DX200 エディターを再インストールという手順でやっと動作。

やっぱ、FM は良いですよね。
久々に聴くとモロ懐かしいみたいな(笑)
デモ聴くと泣けますよ。

YAMAHA DX200
最初は、DX7 にフィルターが付くなんてなんてイイ時代なんだぁと思っていたのですが、やっぱり DX には不要ですよ。内蔵エフェクトが付いただけでもう十分って感じです。

プラグインボードとはいえ、ハードはこんなに抜ける音だったんだよなぁとか思いながら久々にサンプリングじゃない FM エレピをポロンポロンと堪能しました。

Waldorf Q 解説-オシレータ-

SUB TITLE IMAGE Waldorf Q の出音の高評価を支えているアナログモデリングによるシンセサイザー部分は意外なほどに普通の構成なのです。その VCO 部分の解説です。

関連リンク
メーカー(FTP) :
 Waldorf FTP Server
メーカー :
 Waldorf,
 the Synthesizer Company

見てもらえば分かるとおりのとても素直な音源構成です。ただし、3 つのオシレータのパラメータをほぼ完全に独立したノブに割り当てていることで想像以上に思い通りの音作りを可能にしてくれます。

どちらかというと、オシレータシンク・リングモジュレーションの変調先の関係で、オシレータ 2 がメインのオシレータと考えると音作りは簡単です。

この 3 つの独立したオシレータに加え、3 つの独立した LFO と、ミキサーセクションでの 1 つのノイズジェネレーターとパラメータ内での 2 つのサブオシレータが使用できます。

Waldorf Q

まずは、3 つのオシレータで何ができるかというと、

Waldorf Q

・並列出力・・・普通に 3 つの VCO として出力します。

・オシレータシンク・・・オシレータ 3 でオシレータ 2 をシンクできます。

・リングモジュレーション・・・オシレータ 1 とオシレータ 2 をリングモジュレーションして出力できます。

・FM・・・それぞれのオシレータの周波数変調をかけることができ、そのソースとして色々な変調元を洗濯できます。

・Wave Table・・・オシレータ 1 とオシレータ 2 は、通常のシンセ波形以外に ALT1 と ALT2 に割り当てられた Waldorf 伝統の Wave Table から波形を選択して出力することができます。

できることの選択肢は、過去の高級アナログシンセでできたことを網羅していると言えます。
書くことがないくらいに普通のことしかできないのが特徴です。

・ノコギリ波
Waldorf Q 定評の Q サウンドとは、これまた当たり前の模倣なのですが、旧来のサイン波を変調しての各波形の出力にあります。

廉価版シンセにありがちなノコギリ波出力ではなく、奇数周期のサイン波を重ねてノコギリ波を出力しています。

その他の波形も同様にサイン波から作り出す波形ですので、どの波形を選択してもパルスワイズという周波数周期の変化幅とシェイプ機能による周波数周期の周期幅の変更ができます。

・パルス波
Waldorf Q ノコギリ波と同様にサイン波から生成していますのでパルス幅の可変は自在でリアルタイムに行えます。

・三角波
Waldorf Q 三角波も同様に色々な変調が自在に行えます。一見、三角波などは搭載されていることが意味不明に思えることもありますが、変調が自在に行える Q ではしっかりと意味がある選択される波形となっています。

・サイン波
Waldorf Q 純アナログシンセサイザーではメイン以外のオシレータにこのサイン波を搭載している機種もありますが、Q では3つのオシレータで使用することができます。

中身は DSP チップによるプログラムによる波形出力なので、その配置や接続は自在ということですが、あえて、現実のハードシンセサイザーで、できないことはやらない。できることは全てやる。それが Waldorf Q の考え方のようです。

Waldorf Q オシレーターシンクは他メーカーが搭載しているそれと同じく、元となる出力波形を出すオシレータに違うオシレータからの出力波形周期を強制的に同調させる仕組みです。

ここで全てのオシレータがメインオシレータの考え方である Q では、パルスワイズでサイン波をシンクさせたりと様々な音作りが可能です。

Waldorf Q

リングモジュレーションは直訳のとおり、オシレータ 1 とオシレータ 2 の出力を掛け算して出力します。

FM と PWM の変調ソースを豊富なマトリックス・モジュレーションのソース群から選択できる自由さはありますが、これはかつての Oberheim Matrix シリーズに搭載されているものと概念は同じで、Waldorf Q は、ただ真面目に昔の代表的なアナログシンセサイザーを模倣したものだと理解できます。

XTk のロータリーエンコーダ

SUB TITLE IMAGE 最初に
数多くの Waldorf 所有者の方々のウェブサイト(またはブログ)にて、エンコーダ本体の互換機の取り寄せ・交換など有意義なコンテンツを掲載されている方も多くいます。
私は、めんどくさがりの不器用という人間です。
ですので、最も適当なエンコーダ修理というより調整法となっています。
!後記
エンコーダそのものの交換は半田付けなどを必要としません。抑えている爪を曲げて戻す作業のみですので、詳しい方は、
クリック有:EC16B-2420424
クリック無:EC16B-2410424
でパーツを検索して購入するといいでしょう。※年式・型番によって物が違うかもしれません。自己責任で!

関連リンク
メーカー(FTP) :
 Waldorf FTP Server
メーカー :
 Waldorf,
 the Synthesizer Company

逆流が止まりません。
いくら回しても、押しながらだろうが引きながらだろうが、ダイヤルを回しても数値は減るばかり。
いくつかのウェブサイトを閲覧しながら、エンコーダの取り寄せ・交換などいろいろ考えましたが、

単にメンドクサイ・・・

てなわけで、2~3度はこの作業で逆流が止まるエンコーダ横着調整です。

XTkは、ひっくり返して開けるんです 1. 最初にメインロータリーノブから左側のノブカバーを全て外します。

XTk はひっくり返して開けて、そのままで作業ですのでメインロータリーより左側の基盤を外すことになり、そのときにノブカバーがあるとエライコトになります。

作業用毛布の上でひたすらネジを外します。


各大パーツをバラしていくととてもメンドクサイことになる 2. このまま、ひっくり返しての作業になります。

XTkは鍵盤が全体のフレームの役割をしていて、各大パーツをバラしていくとメンドクサイことになるので、なるだけ大物は動かさないように作業を進めます。

このときにコネクターを 4 つほど外すことになりますが、全くの同形状な上、使っていない空きコネクターも有るのでカラーテープなど貼り付けて A-A、B-B などコネクターを復帰しやすいように印をつけます。

逆流しまくりエンコーダ

3. 本体正常置きでいう左側・本業中でいえば右側の基盤もネジを外すだけでこんな具合に簡単に外せます。
バラしていけば分かりますが、これが問題の逆流しまくりエンコーダです。

数回やれば折れそうですのでそのうち新品と交換した方がいいのかも 4. さて、本作業です。

本来なら先の 90 度曲がった部分を曲げるのでしょうが、最近は乱視もヒドイし、もともと力まかせな性格ですので、全体を外側に曲げます。

半分~ 2/3 ほど曲がったところで外れそうか確認しながらやります。
これも数回やれば折れそうですのでそのうち新品と交換した方がいいのかもしれません。


細い剣先ドライバーなどでチョイチョイと持ち上げます 5. ノブ本体は接着材も半田付けもしてませんので爪さえ外せば簡単に取れます。

ホコリなど付いていれば除くのですが、何も問題なければスイッチ側はグリスも塗ってありますのでそのまま放置です。

基盤側のスイッチの4本のピンが見事に押し潰れていますので 2~3mm 程度、細い剣先ドライバーなどでチョイチョイと持ち上げます。軽く押し込んでみてちゃんとバネのごとく戻れば OK です。戻らないときは金属疲労か経年劣化です。諦めて新品エンコーダに交換することをススメします。
6. 最後は辛い組立て作業です。

Waldorf microWAVE XTk

SUB TITLE IMAGE ※ microWAVE Ⅱ / microWAVE XT / microWAVE XTk は OS ファイルが同一ですので同じシンセサイザーと思われます。ココでは、所有する XTk と記載しています。以下読み替えてお読み下さい。
これほど Wabe Table (ウェーブ・テーブル)方式という音源形式を全面的に押し出した音源形式のシンセサイザーを作り続けるのは Waldorf 社以外には見当たりません。

関連リンク
メーカー(FTP) :
 Waldorf FTP Server
有志運営(海外) :
 Waldorf,
 the Synthesizer Company

Prophet-VS は波形を並べていく概念のため波形素材を多く搭載し(96)、WAVESTATION は音素材を時間軸で並べてコントロールします。

両者とも XTk と概念は一緒なのですが、Waldorf シンセサイザーで特徴的なのが、音の素材をあらかじめ並べたもの(ウェーブ・テーブル)をたくさん搭載していることです。
エディタを使用すればウェーブ・テーブルの素材や並び順も変更できるそうですが本体のみでの操作を前提に書くと、Prophet-VS や WAVESTATION では素材の並び順やバランスを作り上げていくシンセサイザーなのに対して、XTk は【用意されたウェーブ・テーブルを選択して音作りをおこなう。】ということになります。


音作りの自由度で言えば WAVESTATION に軍配が上がるのですが、 Prophet-VS → WAVESTATION → XTk と発売時期が 10 年ずつくらい間隔が空いていますので音素材のクリアさやフィルターの切れが違うわけです。

Wave Table シンセサイザー WAVESTATION が比較的まとも(?)な音が作り易いのに対して、XTk は控えめにノブを回しても変な音しか出てこないのが特徴です(笑)

選んだウェーブ・テーブルがヘンテコなヤツだったのか、フィルターの設定が妙なのか、すぐに<ボワァワァァン><ビュピョィーニョ>とウネったサウンドになってしまいます。

それでもアタックが早いことと、ローパス / ハイパス / バンドパスなどのフィルターがいくつか選べて、オマケ程度ですがディレイ / コーラス / ディストーションなどのエフェクターが付いていますので、ショートディレイ+リバーブなどでテクノ・トランス系で使えそうなサウンドを作ることも可能です。

ネットで探すとユーザー・ウェーブ・テーブルの部分を作りこんだ人たちのパッチがいくつか見つかります。ということは、ウェーブテーブル次第で、とんでもないサウンドを出してくれそうな期待ができます。
使い始めて英語マニュアルを辞書引きながら読み、ある程度慣れてきたころの感想ですが


「最近の流行の音は出ません!ハイ」


ウェーブ・テーブルを自分で作成して作りこめば音源(波形)が変わりますので未来を感じますが、ノーマルの状態でセットしている波形を選択しても、どれも古臭い DX7 や JD-800 の時代の音です。あぁ、これが売れなかった理由か・・・

フィルターやエンベロープはもちろん、各パラメーターへのアクセスのし易さなどの【作り】は感心するほど良いので、間違いなくプリセットサウンドは書き換えられるのを前提に作られたシンセサイザーです。

思ったとおりの音が出ないというより、今時の大容量 PCM シンセに比べて使えるウェーブ・テーブルが少ないのは、ハマればピタリなのかもしれませんがなかなか難しいところです。それを予見してか、2 つのオシレーターには、FM と RING 装備済みです。つまり壊れた音を作るのが大前提なのかも。

Waldorf microWAVE XTk

ちなみに、Waldorf シンセサイザーのカタログ上での特徴でもある赤いノブダイヤルですが、実際はイロイロと製造時期によって違うそうです。海外フォーラムでも、「俺の赤ノブはシールだった」「私の赤ノブはノブ全部が赤い」「自分の赤ダイヤルは黒だった」とか様々みたいで、塗装もネクステル(つや消しっぽいザラザラ)やテカテカ塗装などかなり違うそうです。

特にノブは「受注生産か?」と思わせるぐらい後期(倒産直前?)に近い製品ほど違うそうです。

私のは黒ダイヤルにトップが透明な(カットオフとウェーブ・テーブルは中が赤い)ある意味ガッカリ、別の意味で手が込んだノブでした。

鍵盤はウェイトは鍵盤の中に埋め込んでありますが素直な軽いタッチのカドが丸い鍵盤です。思い出すのは、Roland の D-10 なんかの廉価版シリーズ。音色作りが手に負えないわけでもないけど少々癖が強く、流行に合わせてウェーブテーブル自体をユーザー生成できるというウェーブ・テーブル・シンセサイザーの最後の形(?)である XTk は、とても魅力的ですが、他人にはとても奨められません(笑)

MP3 160kbps / ウェーブテーブルなサウンドでデモ (425KB)
Waldorf microWAVE XTk DEMO by Digital Monotone

Features
  • 49 鍵キーボード ベロシティ / アフタータッチ(モノ)
  • ピッチベンド / モジュレーション ホイール
  • マルチ / シングル サウンド選択 12 ボタン
  • パラメータ用 44 ノブ
  • パラメータ用 2 ボタン
  • マスターボリュームノブ
  • 8 マルチティンバー
  • 10 同時発音 [ 拡張ボードにより 30 へ拡張可能 ]
  • 128 マルチ
  • 256 シングルパッチ
  • 64 ROM ウェーブテーブル
  • 32 RAM ウェーブテーブル
  • 64 ユーザー ウェーブテーブル
  • 500 waves
  • MIDI 同期可能プログラムアルペジェーター
  • 内蔵 4 エフェクトユニット
  • 全パラメータをリアルタイムで MIDI コントロール可能
  • MIDI In / Out / Thru
  • 1 ステレオイン
  • 2 ステレオアウト
  • カラー:オレンジ / フルメタル
  • 2 オシレータ
  • オシレータシンク
  • FM モジュレータ
  • ノイズ
  • リングモジュレータ
  • フィルター 1
    • ローパス 12dB/24dB
    • バンドパス 12dB/24dB
    • ハイパス 12dB
    • ノッチフィルタ 12dB/24dB
  • フィルター 2:
    • ローパス 6dB
    • ハイパス 6dB
  • ウェーブシェイプ用 8 ステップ(タイム、レベル)エンベロープ
  • フィルター用 ADSR エンベロープ
  • アンプ用 ADSR エンベロープ
  • フリー 4 ステップ(タイム、レベル)エンベロープ
  • デュアルモード / ユニゾンモード / モノモード
  • MIDI シンク可能 2 LFO
  • 16 スロット モジュレーション マトリクス

Waldorf シンセサイザー小図鑑

関連リンク
メーカー(FTP) :
 Waldorf FTP Server
メーカー :
 Waldorf,
 the Synthesizer Company

Waldorf 社が健在のときはいくつかの Waldorf シンセサイザーの紹介サイトがあったのですが、残念なことに閉鎖が多いみたいですので、覚えている範囲でコメントしてみました。

コメントについては記憶と手持ちのカタログなどの資料によるところが多いのでスペックなど間違いがあるかもしれません。修正を随時行いますので修正と更新の日付をつけています。
micro Q Phoenix Edition / Q Phoenix Edition / Q+ Phoenix Edition はそれぞれのオリジナルの下に画像のみ配置しています。

※掲載順序はリリース年代順です。
※Q のデモサウンドは、Waldorf 社が復活していますので其方で視聴してください。
http://www.waldorfmusic.de/


Microwave WAVE Microwave XT
Microwave XTk
Microwave II
Pulse Q
Q Rack
Micro Q
Micro Q Keyboard
Q+ Rack Attack Blofeld

Microwave 2008/06/20最終更新 誤字脱字修正
Waldorf Microwave
発売開始・・・1990 年
タイプ・・・ウェーブテーブル
発音数・・・8
特徴・・・2OSC / 1FILTER / 3ENV / 2LFO
コメント
アナログシンセサイザー~最近のデジタルシンセサイザーへの変革の時期で言えば、Microwave がリリースされた数年後の、フルデジタルでのアナログモデリングシンセサイザーが旧来のデジタルでアナログを補う技術からアイデアをデジタル技術へ生かす方向へ向かった変換時期に Microwave はリリースされた。
後の Microwave II では回路がフルデジタル化され、名称こそ Microwave だが、PPG WAVE2.3 のコンセプトを色濃く受け継いだ Microwave と違い、Microwave II は後の Q シリーズへのモデリング技術確立への布石となるもので、両者は違ったシンセサイザーと考えた方がよい。
その特徴として、Microwave はデジタルフィルター搭載も可能な時期だったにもかかわらず、カーチス社製アナログフィルター搭載なのは、確かにその時期の他社のシンセサイザーのデジタルフィルターを触ってみれば現在のようなモデリング技術は無かったため、その Waldorf 社の選択は正しかったと言える。
サウンドは視聴してみれば分かるが、オシレータが Wave Table 方式であるのは間違いないが、後年の II / XT シリーズとは違った旧来の良き PPG シリーズが進化したサウンドとなっている。


Microwave WAVE Microwave XT
Microwave XTk
Microwave II
Pulse Q
Q Rack
Micro Q
Micro Q Keyboard
Q+ Rack Attack Blofeld

WAVE 2008/06/20最終更新 誤字と文章訂正
Waldorf WAVE
発売開始・・・1995 年
タイプ・・・ウェーブテーブル
発音数・・・16(オプション拡張で 48)
特徴・・・2OSC / 1FILTER / 4ENV / 2LFO
コメント
この Waldorf WAVE は Waldorf 社のシンセサイザーファクトリーとしての自社技術の集大成的位置付けのシンセサイザーで、その独特の Wave Table サウンドに加え、国内価格で 120 万円という価格と大きくチルトアップする操作パネルのデザインも含めて注目されたモデルだった。
音源は PPG WAVE 2.3 を引き継ぐ Wave Table 方式で、技術的には Microwave の進化系というより豪華版。Microwave は主要回路のデジタル化とソフトウェア化で PPG WAVE シリーズに比べると線が細いなどの意見もあったが、D/A・A/D、内部回路の妥協なき設計もあり、この WAVE ではアナログでは出せないデジタルの音がとても暖かいという声が多い。
実際のところ、PPG WAVE シリーズの Wave Table の波形が Microwave で高レート高ビット化し、それに対しての音の出口回路とのバランスが取れてなかった部分を徹底的にリファインしたモデルと言った印象を受ける。
後の XTk や Q シリーズへ受け継がれる、音作りに関する主要パラメータを省略することなくノブに割り当てていく音作りがし易いユーザーインターフェイスは、この WAVE が元となっているのは明白である。
Waldorf WAVE 完全受注生産で月に数台ペースで作られたにも関わらず、私が中古楽器店で見たシリアルは 300 番台だったので、推測だが 400 台近くは生産されたと思われる。 日本ではこの写真のカラーモデルが有名だが、受注生産らしく海外のサイトを巡っていると、いくつかのカラーバリエーションも見ることができる。


Microwave WAVE Microwave XT
Microwave XTk
Microwave II
Pulse Q
Q Rack
Micro Q
Micro Q Keyboard
Q+ Rack Attack Blofeld

Microwave XT / Microwave XTk / Microwave II 2007/05/17最終更新 文章と画像の追加
Microwave XTk
Waldorf Microwave XTk
Microwave II
Microwave XT
Waldorf Microwave XT
Microwave XT Black Edition
Waldorf Microwave XT
発売開始・・・1998 年
タイプ・・・ウェーブテーブル
発音数・・・10(オプション拡張で 30)
特徴・・・2OSC / 1FILTER / 3ENV / 2LFO
コメント
XT シリーズは、コアなファン層を掴んだ Wave Table 音源形式を搭載し、デジタル技術の進化により、後の Q シリーズにも継承されていく切れがあるモデリングフィルターを搭載したデジタルシンセサイザーである。
ただし、XTk シリーズは、確かにアナログ回路のモデリングだが Q ほど洗練されていなくて、自己発振もできるがスィープさせると音量と音圧が変化していく部分が不自然なところもある。それを良く言えば荒々しいと表現することもでき、その荒々しいフィルターの切れと、強いアタック感を支持するユーザーも多い。
audio fabrik Sound Set そのサウンドの要とも言える Wave Table だが、確かに呼び出しポイントの自由な設定もでき、そのままでも多彩なサウンドを作り出すことが可能だが、時代とともに変化する音の流行に対応させるための Wave Table そのもの変更は、専用エディターの使用などの難解な部分も多く、メーカーリリースの追加の Wave Table を含むオプションパッチ集に頼ることが実際の使われ方としては多い。
私は2006年に購入したが、まだ販売中のサウンドセットもいくつかある。購入すると先行してメ ールにてファイルが送られてきて数週間してCDパッケージが海外郵便で送られてきた。
それらのパッチ集が定期的にリリースされているうちは良かったが、既知のとおり Waldorf 社の活動停止となる時期くらいから新しいパッチ集のリリースも無くなり、将来的に使えるシンセサイザーであるかどうかの不安要素が残る。
Waldorf Microwave XTk 後年発売の Microwave II は XTk と全く同じシステムらしく OS ファイルが同一である。
II / XT / XTk もまた生産時期による塗装と外装パーツの違いが多いモデルで、とくに α ダイヤルは多くはユーザーが旧製品から交換したと思われるが、赤、半透明赤、黒など塗装やマークの有無まで様々となっている。
右の画像は Waldorf ウェブサイトの上部にデザインアイテムとして配置してあり、存在するのか?くらいに思っていたが、ドイツの掲示板で見つけたグレーバージョン。本国ではもっと多彩なカラーバリエーションが存在したのかもしれない。


Microwave WAVE Microwave XT
Microwave XTk
Microwave II
Pulse Q
Q Rack
Micro Q
Micro Q Keyboard
Q+ Rack Attack Blofeld

Pulse 2008/06/17最終更新 文章と画像の追加
Waldorf Pulse
発売開始・・・1996 年
タイプ・・・アナログ
発音数・・・1
特徴・・・3OSC + Variable waveform / 1FILTER / 2ENV / 2LFO
コメント
Waldorf Pulse は Waldorf 社が創設時前後(PPG 社)からデジタルシンセサイザーに取り組んできたこと(340/380 など)を考えれば初めて市場にリリースしたアナログシンセサイザーということになるかもしれない。
1990 年頃からの主力製品は Microwave II シリーズに(XT 含)見られるウェーブテーブル方式で、この Pulse リリースの翌年には XT シリーズをリリースしていることから市場での評価は高いとは言えない物であったが、そのオシレータは純アナログながらも Variable waveform というものを搭載しており、その当時市場に多く見られた DCO(デジタル IC によって波形を出力制御)シンセサイザーへの最大の利点である"温度変化によるオシレータの音程の狂い"と"サイン波基本のアナログチップでは出せない倍音を含んだ波形も出力(メモリー)できる"への Waldorf 社の一つの解答だったと思える。
DCO では波形をデジタル IC により出力しその周期(音程)をデジタル制御するのだがどのタイミングでも同じ波形で簡単に言えば有機的ではない。そこで Pulse は 3 つのアナログ OSC では出せない音への補完として"Variable waveform = 時間軸で変化する波形"を搭載している。技術的には VA(ヴァーチャルアナログ)が世に出る以前の技術であるためにこれに期待してはいけないのだが・・・
ただし、時間軸で変化していくことの意味をこれほど大事にし続けている会社は他には見ることはできない。 この Pulse 開発で培われたアナログシンセサイザー製作の技術もやがて Q の開発に生かされたのであろう。
市場に少ない実機を触る機会が偶然あり、色々と触ってみたのだが、感想はアシッドやテクノ向けのシーケンスやベース音源と言ったところだろうか。3VCO なので太いのサウンドであることは間違いない。Mini MOOG クローンぽいがそうではない。アタック感が独特というか Waldorf 社のアタックのソレでシーケンサーを使ってフィルターを回しているだけでも楽しいのだが、シーケンスフレーズやベースで有名な機種と比較すると特徴的な"棘"が無い。なんというか、よくできたアナログシンセすぎるのである。ただし、これも時代の進化で仕方ないのだが常用の CD-900ST でモニターしている限りでは、中~高域が古いシンセサイザーに見られる少し右下がりの音である。


Microwave WAVE Microwave XT
Microwave XTk
Microwave II
Pulse Q
Q Rack
Micro Q
Micro Q Keyboard
Q+ Rack Attack Blofeld

Q / Q Rack 2012/02/05最終更新 誤字訂正
Q yellow
Waldorf Q Keyboard
Q
Waldorf Q Keyboard

Q classic blue

Waldorf Q Keyboard

Q RACK yellow

Waldorf Q RACK

Q RACK classic blue

Waldorf Q RACK
発売開始・・・1999 年
タイプ・・・アナログモデリング+ウェーブテーブル
発音数・・・16(オプション拡張で 32)
特徴・・・3OSC / 2FILTERS / 4ENV / 3LFO
コメント
1999 年の NAMM ショーにて発表され、デモでもその当時にリリースされていたアナログモデリングシンセサイザーである NordLead シリーズや NOVA シリーズとは違った強烈にエッジするモデリングフィルターと、ほぼ全てのパラメーターをパネル上のノブに配置した、存在感があるデザインで高い前評判を受け、同年にリリースされた。
Q は、"Waldorf と言えば Wave Table シンセサイザー"という概念を払拭させたシンセサイザーでもある。
なお、後年リリースされた OS3.2 では OSC に Wave Table を選択できるが MicroWave / XT シリーズのような複雑なことができるわけではなく、あくまでもメインはアナログモデリングオシレータで、それに色づけするときに Wave Table という選択肢もあるといった程度。
販売価格が国内価格で 38 万円と、25 万円付近で 61 鍵のフラッグシップモデルをリリースする国内メーカーのシンセサイザーと比較すれば、その価格は購入しづらい要因でもあったかもしれない。
サウンドは、3OSC がサブオシレータを含むということではなく、全てがメインオシレータであり、アナログモデリングとは分かっていても、その存在感が強烈なサウンドはまさに進化したアナログシンセサイザーと言えるだろう。もし旧年の名機に最新の D/A コンバータを搭載すれば・・・といった感じである。
Waldorf Q and Q+ Phoenix Edition カラーバージョンの豊富さは Waldorf 社の特徴で、特別カラーの黄色、後年のモデルではクラッシックブルー、そして WAVE 配色などがある。更に塗装の状態もネクステル塗装(エンボス加工の手触りがザラザラした塗装だが艶消しでは無い。半艶といった感じ)からフラットな艶消し塗装など様々であり、その他 Waldorf 社製品にも見られるが、ウェブでよくみる Waldorf 社製品は CG である場合が多く、ここに掲載したいくつかの画像も CG であり、実機のサイドウッドは WAVE カラーは木目のオークカラーなど、ますますそのカラーバリエーションを把握しにくくしている。


Microwave WAVE Microwave XT
Microwave XTk
Microwave II
Pulse Q
Q Rack
Micro Q
Micro Q Keyboard
Q+ Rack Attack Blofeld

Micro Q / Micro Q Keyboard 2007/05/16最終更新
Waldorf Micro Q Waldorf Micro Q Keyboard
発売開始・・・2000 年
タイプ・・・アナログモデリング+ウェーブテーブル
発音数・・・25(オプション拡張で 75)
特徴・・・3OSC / 2FILTERS / 4ENV / 3LFO
コメント
Q シリーズの廉価版という位置づけで価格も Q の同タイプ(キーボード・ラック)の 1/2 強~ 2/3 と Q シリーズ(25 万円~ 40 万円)に比べて買いやすいものだった。
上位 Q シリーズとの決定的な違いは、ユーザーインターフェイス部分のノブやスイッチ関連が大幅に省略されていることだが、音質とシンセサイズの部分はしっかりと Q の特徴を継承しており、存在感がある Waldorf アナログモデリングサウンドを出してくれる。
OS ファイルが Q シリーズと違うことから上位 Q シリーズと同じエンジンではないが、Q シリーズにて後年リリースされたバージョンに含まれるオシレータへの Wave Table アサインができたりする点は Micro Q にも受け継がれている。
回路図や OS を分析したわけではないので明言はさけるが、Waldorf 社製品はシリーズごとに使いまわしが多いので、もしかすると同じシンセサイザーエンジンなのかもしれない。ただし、A/D・D/A コンバーターが違うのか、上位 Q シリーズではモニタースピーカーのバスレフ穴から突風を出させるくらいの低音サウンドを出せるが、Micro Q を私が操作した記憶では、そこまでのレンジが広いサウンドを出すことはできなかった。
Waldorf Micro Q Phoenix Edition歯切れが悪いが、その圧倒的な存在感がある音を出せるのが Q の特徴だとしたら、この Micro Q シリーズは力不足感を感じてしまうがトラックに録音して EQ やコンプでそれらを補うことができることを思えば、Micro Q も間違いなく Q である。
ラックシリーズには Yellow などのカラーバリエーションがある。


Microwave WAVE Microwave XT
Microwave XTk
Microwave II
Pulse Q
Q Rack
Micro Q
Micro Q Keyboard
Q+ Rack Attack Blofeld

Q+ 2007/05/16最終更新
Waldorf Q+ Keyboard
発売開始・・・2002 年
タイプ・・・アナログモデリング+ウェーブテーブル
発音数・・・16(オプション拡張で 100)
特徴・・・3OSC / 2FILTERS / 4ENV / 3LFO
コメント
Waldorf 社と言えば Wave Table 方式オシレータという認識は Waldorf 社にもあったらしく、生産ロットの単位が少なかったと思われる Q シリーズが、高い評判を受け予想以上の生産をおこなったのは、そのカラーバリエーションモデルが短期間でいくつもリリースされたことからも伺える。
そして、後年 Q シリーズに対する、どちらかというと社内チームの趣味のような感もあるが、Q に本物のアナログフィルターを搭載したモデルが Q+ である。
Waldorf Q and Q+ Phoenix Edition国内価格で 70 万円近くとオリジナル Q シリーズの倍の価格は、アナログフィルター搭載という魅力を考えてもやはり高価であり、その販売形式も台数限定だったと記憶している。正直なところオリジナル Q があまりにも魅力的過ぎて、それを超えるとは思っても手を出しかねたユーザーが多かったように思う。


Microwave WAVE Microwave XT
Microwave XTk
Microwave II
Pulse Q
Q Rack
Micro Q
Micro Q Keyboard
Q+ Rack Attack Blofeld

Rack Attack 2007/05/17最終更新
Waldorf Rack Attack
発売開始・・・2002 年
タイプ・・・アナログドラムシンセ
発音数・・・24
特徴・・・2OSC / 1FILTER / 2ENV
コメント
Rack Attack は、最初に VSTi のソフトシンセサイザーとして発売され、後からハードウェアとして発売されたドラムシンセサイザーで、このころに Q+ もリリースされたことから、モデリングから本物のチップへの回帰は Waldorf 社の戦略か社内的な流れだったのかもしれない。戦略だったのならばその後 Waldorf 社は倒産しているので失敗と言えるし、リリースされた時期は ACCESS Virus シリーズの台頭などどちらかというとモデリング技術の成熟期でもあったことから、やはり、Waldorf 社のシンセサイザーへの情熱が本物のアナログチップ搭載へと向かったと思いたい。
Waldorf Rack Attack VSTi 画像は VSTi 版の Waldorf Attack
ソフトウェア版の方の Attack しか触ったことが無いので書くことができないのだが、ソフトウェア版でも十分に強烈なドイツテクノやドイツトランス系のアナログリズムの音を出してくれるので、モデリング部分をアナログチップに置き換えたハードにも更なる期待をもてる。
Rack Attack のリリース後に Waldorf 社が倒産しているので、ハードは稀に海外中古市場で見るくらいで実機を触るチャンスが無いのが残念である。


Microwave WAVE Microwave XT
Microwave XTk
Microwave II
Pulse Q
Q Rack
Micro Q
Micro Q Keyboard
Q+ Rack Attack Blofeld

blofeld 2012/02/02 アップデートしたOSに合わせての修正 (暫定)
Blofeld
Waldorf blofeld
Blofeld Keyboard
Waldorf Blofeld Keyboard
発売開始・・・2008 年
タイプ・・・アナログモデリング+ウェーブテーブル
発音数・・・25
特徴・・・3OSC / 2FILTERS / 4ENV / 3LFO
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まさか、Waldorf 社のシンセサイザーについて追加することがあるとは!と思っていたのだが Waldorf 社復活の第一弾が Blofeld だ。
リリースされて以来、幾度かの OS のアップデートにより2012年頃の Blofeld は、PCM 素材の書き換え(メーカーオプションにて販売、もしくは追加 PCM 付バージョンの販売)を可能にし、Micro Q ベースとも言える初期のリリースから Blofeld という独立した固体として認識されるようになった。
DSP ベースのシンセサイザーなので、その価格から複雑なパッチになると発音数が3~4音と物足りなくもなるが、全体的によくできたプリセットが多く、既存の有名メーカーの音に耳が慣れてしまった中で聞くと新鮮さを感じる。
Blofeld は、昔の Waldorf のシンセサイザーのような、回しきると極端な効き方をするフィルターとレゾナンスや、ギラギラしたビットを落としたような荒い尖った高域サウンドが出るような極端な特徴を持っているわけでは無いが、個性的で良いサウンドを作れるシンセサイザーであることは間違いない。

Waldorf Blofeld BLACK ちなみにオペアンプは LM1877M という 1990 年代後半の、中域の歪みが少ないが高域がやや歪みが多い特性を持った物で 2008 年にリリースされた製品にこれを使用しなくても良い気がするがコストパフォーマンスを考えるとベストだろう。
Wave Table 搭載で旧来の Waldorf シンセサイザー的な音作りの楽しみを持ちながらも、60MB~ のフラッシュメモリーが搭載されており、そこに BLOFELD SAMPLE OPTION UPGRADE というデーターの追加を行えば、PCM 音源機能も追加されるので、その筐体の小ささと合わせて昨今の DTM システムの中へも追加導入し易いコンセプトを打ち出している。