
これほど Wabe Table (ウェーブ・テーブル)方式という音源形式を全面的に押し出した音源形式のシンセサイザーを作り続けるのは Waldorf 社以外には見当たりません。
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両者とも XTk と概念は一緒なのですが、Waldorf シンセサイザーで特徴的なのが、音の素材をあらかじめ並べたもの(ウェーブ・テーブル)をたくさん搭載していることです。
エディタを使用すればウェーブ・テーブルの素材や並び順も変更できるそうですが本体のみでの操作を前提に書くと、Prophet-VS や WAVESTATION では素材の並び順やバランスを作り上げていくシンセサイザーなのに対して、XTk は【用意されたウェーブ・テーブルを選択して音作りをおこなう。】ということになります。
音作りの自由度で言えば WAVESTATION に軍配が上がるのですが、 Prophet-VS → WAVESTATION → XTk と発売時期が 10 年ずつくらい間隔が空いていますので音素材のクリアさやフィルターの切れが違うわけです。

選んだウェーブ・テーブルがヘンテコなヤツだったのか、フィルターの設定が妙なのか、すぐに<ボワァワァァン><ビュピョィーニョ>とウネったサウンドになってしまいます。
それでもアタックが早いことと、ローパス / ハイパス / バンドパスなどのフィルターがいくつか選べて、オマケ程度ですがディレイ / コーラス / ディストーションなどのエフェクターが付いていますので、ショートディレイ+リバーブなどでテクノ・トランス系で使えそうなサウンドを作ることも可能です。
ネットで探すとユーザー・ウェーブ・テーブルの部分を作りこんだ人たちのパッチがいくつか見つかります。ということは、ウェーブテーブル次第で、とんでもないサウンドを出してくれそうな期待ができます。
使い始めて英語マニュアルを辞書引きながら読み、ある程度慣れてきたころの感想ですが
「最近の流行の音は出ません!ハイ」
ウェーブ・テーブルを自分で作成して作りこめば音源(波形)が変わりますので未来を感じますが、ノーマルの状態でセットしている波形を選択しても、どれも古臭い DX7 や JD-800 の時代の音です。あぁ、これが売れなかった理由か・・・
フィルターやエンベロープはもちろん、各パラメーターへのアクセスのし易さなどの【作り】は感心するほど良いので、間違いなくプリセットサウンドは書き換えられるのを前提に作られたシンセサイザーです。
思ったとおりの音が出ないというより、今時の大容量 PCM シンセに比べて使えるウェーブ・テーブルが少ないのは、ハマればピタリなのかもしれませんがなかなか難しいところです。それを予見してか、2 つのオシレーターには、FM と RING 装備済みです。つまり壊れた音を作るのが大前提なのかも。

ちなみに、Waldorf シンセサイザーのカタログ上での特徴でもある赤いノブダイヤルですが、実際はイロイロと製造時期によって違うそうです。海外フォーラムでも、「俺の赤ノブはシールだった」「私の赤ノブはノブ全部が赤い」「自分の赤ダイヤルは黒だった」とか様々みたいで、塗装もネクステル(つや消しっぽいザラザラ)やテカテカ塗装などかなり違うそうです。
特にノブは「受注生産か?」と思わせるぐらい後期(倒産直前?)に近い製品ほど違うそうです。
私のは黒ダイヤルにトップが透明な(カットオフとウェーブ・テーブルは中が赤い)ある意味ガッカリ、別の意味で手が込んだノブでした。
鍵盤はウェイトは鍵盤の中に埋め込んでありますが素直な軽いタッチのカドが丸い鍵盤です。思い出すのは、Roland の D-10 なんかの廉価版シリーズ。音色作りが手に負えないわけでもないけど少々癖が強く、流行に合わせてウェーブテーブル自体をユーザー生成できるというウェーブ・テーブル・シンセサイザーの最後の形(?)である XTk は、とても魅力的ですが、他人にはとても奨められません(笑)
MP3 160kbps / ウェーブテーブルなサウンドでデモ (425KB)
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