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2012年11月28日水曜日

Oberheim Xpander

SUB TITLE IMAGE 当時価格 68 万円は私にとって当然「あるわけがないっ!」な金額。
時代は変わりインターネットを使えば上物を安く手に入れることができるようになりました。
USA 製と音の違いはほとんどないのですが、電源周りやコンデンサーが高負荷対応じゃなくなったりしています。

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メーカー :
 Oberheim
Oberheim Xpander は 6VOICE の VCO-VCF-VCA 構成を持つアナログシンセサイザーで今風に言うとラックバージョンです。音源部を 2 つにして 12VOICE にした Matrix12 という鍵盤付きもあります。

よく耳にするマトリックスモジュレーションとはその基本構成である VCO、VCF、VCA はもちろん LFO や ENV の信号経路を自由にパッチできるところにあり、通常構成のままだとどうしてもアタック音を鋭くできないのですがマトリックスモジュレーションや FM 変調で意外と簡単にアタック系のサウンドも作れます。

Oberheim Xpander

1VOICE あたり、2(12)つの VCO、15(90)の VCA、5(30)の LFO 搭載という【モンスターシンセサイザー】的広告で 1984 年に発売開始されています。当時、私の地元にも大きな楽器屋さんが 7 つありましたが、その中でも YAMAHA(当時代理店) にしか展示は無く、DX1、DX5 などの高級シンセと同じブースにて怪しいオーラ(笑)を出していました。

前述の 90 もの VCA については、Oberheim のシンセサイザーは、Xpander 以降、エンベロープジェネレーターはソフトベースに移行しており、実際は 18 個の VCA をソフト制御にて動作させています。Prophet-600 以降の Prophet シンセサイザーもソフトウェアによる VCA 制御です。
現在は制御する CPU やチップが高速化して、カツンカツンとかなり速いアタックを出せますが、当時、VCA をソフト制御した機種は現在において軒並み評価を落としています。

余談ですが、DX7 もハードによるカスタムエンベロープジェネレーターです。
SY 以降はソフトになり、「DX の FM と何か違う」の大きな原因では無いかと私は思っています。

Xpander は元々の Oberheim 系サウンドがパッドやブラスで評価を受けていたので、確かにアタックは弱いのですが、それほど評価に影響することが無かった珍しい機種です。むしろ、ディケイからサスティン・リリースにかけての豊かな中低音が現在においても評価されています。

これはアナログ機全般に言えることですが、今もってなお評価される理由のひとつとして、レコーディング・ハードの進化で高ビットレートでレコーディングすると、デジタル機では、チップの計算外の音域はノイジーで頭打ちだったりしますが、アナログ機は機種にもよりますが、どこまでも【音】が出ているわけです。あわせて、MIDIでは無く各社各様の制御は、やはり、その機種に一番適しているということでしょう。
音作りに関しても、さすがにアナログシンセ最終期のフラッグシップ機だけあって、フィルターにはローパス、ハイパス、バンドパスなどの多彩な 15 種類の VCF、さらに FM 変調付きで各 VOICE を別々にエディットすることも可能であり、さらにそれらモジュールの組み合わせを自由にパッチできるという現在考えられるパッチシンセサイザーの要素まで盛り込んでいる、ある意味何でもアリなシンセサイザーです。

時期同じころに YAMAHA DX7 が発売されシンセサイザーは一気にデジタル化へ進み XPANDER は最後のアナログシンセサイザーとも言われています。その技術の集大成とも言えるべくオートチューニング機能と MIDI 対応により現在でも代用品が無いシンセサイザーの一つであることは間違いありませんが、2000 年になって、【個性があるバーチャル・アナログ・シンセサイザー】が多数見られるようになってからは、正直、メンテナンス、MIDI との親和性という意味では、古臭い機種であることも認めてあげなくてはなりません。MIDI については、対応とは言っても、正直に使えるのはノート ON/OFF とプログラムチェンジくらいで、シーケンスフレーズを走らせながら、フィルターとレゾンナンスも DAW ソフトで制御、つまり、ツマミをグリグリしながら MIDI レコーディングしたものを再生しようとしてもモタって使い物になりません。

Oberheim Xpander よくアナログならではの太い音とか揺らぎとか言われますが、XPANDER は触れば触るほど多彩なサウンドを出してくれてクリアな音も出してくれたりします。最近の私のお気に入りは FM 変調を使ったエレピ音なんですが、さすがにこの手の音色は両手で弾くときは発音数の問題で厳しかったりします。もちろん 6VOICE ユニゾンでのリードは壁が震えます(笑)

音色エディットもその多機能さと複雑さから開放してくれる対話型?っぽく作られており、悪く言えば適当にボタンとダイヤルをグリグリやっていればそれなりにできてしまいます。

マトリックス・モジュレーションとは、VCOや、エンベロープ、LFO など、それぞれのパートをモジュラーシンセみたいに自由にパッチコードで接続するという概念を電気的に置き換えたものです。
これは、68B09 という CPU が 2 基で処理します。利点といえばパッチコードが要らないということですが、モジュラーシンセを触ったことが無い場合(私もそうですが)は難しいかもしれません。
最低でも VCO-VCF-VCA 構成のクロスモジュレーション装備アナログシンセを操作する程度の知識は必要です。
ルーティングは 20 個まで自由に組めますが、私は、大体 10 個以上組むと音が出なくなるという現象に陥ります(笑)
そういうときは、あきらめてモジュレーションをイニシャライズしています。

当たり前ですが、内蔵エフェクターは付いてません。さらに同時発音数がシングルモードで 6 音ですので、リバーブ・ディレイは必須です。私の場合、YAMAHA 01V の内蔵エフェクターを、SH-2 と Xpander 専用で使っています。

最後に、シンセサイザーには音色エディットの際にイニシャルボイス(初期化)というのがあります。XPANDER のイニシャルボイスも当然何もパラメーターをイジってない素な音なんですが、それだけ波形がニゴっていたり、アナログエンベロープが揺れているのだけかもしれませんが、Xpander はソレを聴くだけで満足できる音をだしてくれます。

メモ
cem3372 Signal Processor (16MHz) x6
cem3374 Dual VCO x6
6809 processors x2
Curtis 3320 VCF or equivalent
cem3372
LPF 4pole filter

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